医療再生を願うネット市民の会
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発足に当たって

私が「医療崩壊」という言葉を知ったのは、医療事故に関心を持ったのがきっかけでした。
私は鍼灸マッサージ師として施術をしているので、医療事故はひとごとではありません。
ニュースサイトなどをめぐるうち、私はお医者さんたちのブログにたどりつきました。
そこで知ったのは、新聞などで「悪」としてとりあげられがちな医療事故に対する、まったく違った見かたでした。

医療は完全ではありません。ある確率で事故は発生しうるし、死を避けられない場合もあります。
なのに、お医者さんたちは常に完璧であることを求められ、疲れきっていたのです。
結果が悪いと、患者さんに恨まれ、訴えられる。ひどい場合は、逮捕されてしまう。
誠実にたいへんな仕事をしていても、そんなことがあっては、心が折れてしまいます。

さらに、24時間営業のコンビニエンスストアのように、軽症であっても気軽に夜中に救急外来を受診する人たちもいます。
お医者さんの当直は、本来は診察などの仕事をする時間ではなく、入院中の患者さんの急変などに備えて仮眠を取ったりする時間なのです。それが、夜中でも診察するのが当たり前になってしまっていて、しかもきちんと労働時間として取り扱われていません。

また、かかりつけ医をもたず、いきなり大きな病院を受診する人もいます。
日本ではそれは可能なことですが、海外では制限されているところもあるのです。
まずかかりつけ医にかかって、必要なら大きな病院に紹介されます。
それは、大きな病院は、より重症な患者さんや、より難しい患者さんを診る必要があるからです。
日本ではそうした制限が無いため、大きな病院や救急外来が混雑する要因になっています。

いま日本の医療は疲弊し、崩壊の危機に瀕しています。
病気になるお医者さんも、過労死してしまうお医者さんもいます。
お医者さんたちは、訴えられそうな現場や、忙しすぎる現場から去っていっています。

私たちは、この医療崩壊に対して何ができるでしょうか。
その答えの1つが、兵庫県の「県立柏原病院の小児科を守る会」の活動です。
柏原病院では、小児科のお医者さんが減って、診療の継続が困難になっていました。それを知った地域の人たちが、自分たちにできることを実践しようと、3つのスローガンを掲げてお医者さんの負担を減らす活動を始めました。

1. コンビニ受診を控えよう
2. かかりつけ医を持とう
3. お医者さんに感謝の気持ちを伝えよう

「守る会」の活動を知って、柏原病院で働きたいと言ってくれるお医者さんも出てきて、柏原病院の小児科は診療を継続できています。

お医者さんと、私たち市民は、本来、対立する存在ではないはずです。
私たちが戦うべきなのは、病気や怪我でしょう。
私たちはいま、協力し合うことが必要なのだと思います。

医療再生を願うネット市民の会 発起人 なあ